今月の主題 血栓症とDIC
Editorial
多くの疾患と密接な関係にある血栓止血
高橋 芳右
1
1新潟大学医学部附属病院輸血部
pp.1242-1243
発行日 1996年7月10日
Published Date 1996/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905165
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止血機構に関与する血管,血小板,血液凝固,線溶および凝固線溶阻止因子は,通常互いによくバランスを保っているが,その破綻により出血傾向および血栓傾向を生ずる.古くは臨床的に出血が大きな問題であったため,止血血栓系は主として出血の原因解明と治療という面から取り上げられてきた.しかし,近年では癌とともに冠動脈疾患が増加し,脳血管障害を加えると,血栓性疾患が依然死因の第一要因となっている.これに伴い,血液疾患や肝疾患での出血対策よりも,血栓性疾患の治療・予防という面で血栓止血の領域が改めて重要視されてきている.血栓止血系は各種疾患の病態および合併症としての血栓症,播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation:DIC)の発症,動脈硬化の進展などに関与する.
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