学会印象記 第53回日本医学検査学会
多くの演題から多くを得られた
仲宗根 勇
1
1琉球大学医学部附属病院検査部
pp.685
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100674
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5月,初夏の沖縄から羽田まで2時間半,羽田から富山空港まで1時間半の空の旅で,午後に沖縄を発ち,残雪の残る立山連峰を見ることもできず富山空港に着いたのは午後9時前であった.現在,臨床検査の分野では多くの専門学会があって各地で開催されており,臨床検査技師の多くはそれぞれの専門学会に参加していると思われる.筆者も臨床微生物が専門であるため,専門学会には毎年参加しているものの,臨床衛生検査学会での報告や参加は十年ぶりである.この項では第53回日本医学検査に参加し,印象に残った演題を紹介したい.
演題番号329「メタロβ-ラクタマーゼ産生緑膿菌の検出状況について」,演題番号330「当院におけるメタロβ-ラクタマーゼ産生菌の臨床的検討」,演題番号331「当院で検出されたメタロβ-ラクタマーゼ産生Klebsiella pneumoniae」は3題とも,分離検出された場合には患者治療および院内伝播が問題となる菌種であるが,報告施設によって分離頻度の大きな差が印象に残る報告であった.また演題330,331ではP seu-domonas aeruginosa以外の菌種においてもメタロβ-ラクタマーゼ産生菌が分離されている報告がなされており,われわれの病院ではP. aeruginosa以外の菌種についてはメタロβ-ラクタマーゼ産性確認試験は実施していなかったため大変参考になった.演題番号333「当院において分離された多剤耐性緑膿菌についての検討」では多剤耐性株の色素産性株と非産性株とではクローンが異なったとの報告であり,初代分離平板の観察が重要であることが再認識された.
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