今月の主題 ウイルス肝炎—現況と展望
座談会
ウイルス肝炎—研究と臨床の現状
矢野 右人
1
,
上村 朝輝
2
,
林 茂樹
3
,
小池 克郎
4
,
織田 敏次
5
1国立長崎中央病院・臨床研究
2新潟大学医学部・第3内科
3国立病院医療センター・消化器内科
4癌研究会癌研究所・遺伝子研究施設部
5国立病院医療センター
pp.1055-1067
発行日 1985年6月10日
Published Date 1985/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219803
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織田(司会) 肝臓の病気も,私たちの時代とはだいぶ変わってきました.後でそれぞれヤング・パワーの心意気をうかがおうと思います.
肝炎がウイルスでひき起こされるということが解明されたのは昭和16年,私が東大に入った年です.北大の弘先生のお仕事を新聞記事で読みました.今でも覚えておりますが,1年坊主,何もわからないのですが,それでも大変なことだというような印象だけは…….北岡正見先生のところへ私も飛び込んだのでしたが,先生は素人がウイルスなどやっちゃいかんということをおっしゃいました.したがってウイルスを横目で見ながらウイルスなき肝臓病学を始めたわけです.まずは蛋白と肝臓,その次がGOT,GPTからG6Pase.1954年のLaDue,WróblewkiのGOTでしたから,日本でそれを測り出したのが昭和30年頃.私が昭和33年に消化器病学会の特別講演をやるわけです.そのときは肝機能の細胞生化学的研究という,いまから考えたら大それた表題でしたが,その当時は何とか酵素を中心に,構造と機能をこれからやろうという心意気を示したものでした.
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