医道そぞろ歩き—医学史の視点から・28
ドブスンの糖尿病代謝異常説
二宮 陸雄
1
1二宮内科
pp.1672-1673
発行日 1997年8月10日
Published Date 1997/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904667
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今から200年前の1770年代のイギリスでは,糖尿病は胃の病気とか腎臓の病気とかいわれていた.アウエンブルッガーの打診法やラエンネックの聴診法の発明よりも30年も前の頃で,フェーリングの尿糖定量法もまだ発明されておらず,糖尿病の尿は舌で味わったり,布の上に滴下して粘り気をみて調べていた.
エディンバラ大学を出たドブスンが開業のかたわらリヴァプール王立施療院に勤務したのは,1770年からの10年間である.ドブスンは,エディンバラ大学で内科医カレンの下で蒸散による体温低下の実験をしたことがあり,施療院でも高温室を作って,助手を「卵が3つ半熟になるまで」閉じ込めたりしていた.まだ大量瀉血療法が日常行われていた時代のことである.
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