今月の主題 日常臨床にみる水・電解質と酸塩基平衡
K代謝とその異常
腎外性K調節系
古谷 裕章
1
1自治医科大学腎臓内科
pp.881-883
発行日 1997年5月10日
Published Date 1997/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904504
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ポイント
●生体内のカリウム(以下K)恒常性を維持するためには,腎臓による調節以外に,肝臓筋肉,骨,赤血球などの細胞におけるKの取り込み,放出と腸管でのK分泌などの腎外性K調節系により一定のKバランスが保たれている.
●細胞内K濃度は血清Kの20〜30倍高値で,細胞膜に存在するNa-K-ATPaseがNaを細胞外へ汲み出し,Kを細胞内へ取り込むことで,この濃度勾配を維持している.
●腎外性K調節に重要な影響を及ぼす因子はインスリン,カテコールアミン,アルドステロンなどのホルモンのほか,酸塩基平衡,血漿浸透圧,薬剤などがあげられる.
●インスリン,β受容体作動薬,アルカローシスはKを細胞内へ取り込み,血清Kを低下させる.α受容体作動薬,高浸透圧はKの細胞内取り込みを阻害し,血清Kを上昇させる.アルドステロンは腸管に作用し,Kの便中排泄を増加させる.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.