増刊号 Common Disease 200の治療戦略
呼吸器疾患
異型肺炎
市川 洋一郎
1
,
大泉 耕太郎
1
1久留米大学医学部第1内科
pp.282-283
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904082
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疾患概念と病態
異型肺炎(atypical pneumonias)は,肺炎球菌などの一般細菌を病原とする細菌性肺炎(bacterialpneumonia)に比べて,その臨床像が異なることから名づけられた診断名である.現在では異型肺炎はウイルス,マイコプラズマやクラミジアなどの非細菌性病原によってひき起こされることが明らかになり,その結果,異型肺炎という総称は使用されなくなってきており,例えば“マイコプラズマ肺炎”のように,起炎病原体の名称を先につけて呼ばれる傾向にある.いわゆる異型肺炎の病原として頻度が高く重要なものは,マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)とクラミジア(Chlamydia psittaciとChlamydia pneumoniae)であり,本稿ではこれを中心に述べる.
マイコプラズマ肺炎は小児や若年成人においては市中肺炎(community acquired pneumonia)の起炎病原として最も頻度が高い.発熱と激しい乾咳(non productive cough)が特徴であり,胸部X線像ではスリガラス状の淡い間質性陰影を呈することが多いとされているが,均等な浸潤影を呈することもある.
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