今月の主題 水電解質・酸塩基平衡の調節とその異常
Editorial
Naに関する身近な話
菱田 明
1
1浜松医科大学第1内科
pp.1840-1841
発行日 1994年9月10日
Published Date 1994/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902928
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1.学生との対話①―Na濃度に関する誤解の源
私がベッドサイド実習の学生を担当するときには,病歴,理学的所見からどんな診断が考えられるかを議論した後,学生に検査計画を立てさせることにしている.「担当した患者についてどんな検査をしたいか」を述べさせると,腎に関連した患者が多いこともあって,多くの検査項目に混じって,Na,K,C1などの血清電解質をあげることが多い.そこで,「なぜ血清NaやC1を測定したいのか?その患者の血清Na値やC1値でどういう異常が起きている可能性があると考えるか?」などと質問すると,多くの学生は当惑した顔をする(腎臓が悪い患者でNa,K,C1などを測定するのは常識ではないかと言いたそうである).また,苦しまぎれに「尿細管の障害のためNa欠乏をきたして低Na血症になっている可能性がある」などと答えたりすることが多い.そんなとき,意地悪く「この患者では腎機能障害のためNa排泄障害による高Na血症が起きているのでは?(Na排泄障害があっても高Na血症になるわけはないのだが)」と質問してみたりする.さすがに,この質問に「そうですね」とのってくる学生は少ない.多分,高Na血症をみることが少ないことから「これはおかしいそ」と思うのだろう.
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