これからの医療と医療制度・1【新連載】
医療施設の体系化
寺崎 仁
1
1日本大学医学部医療管理学
pp.195
発行日 1994年1月10日
Published Date 1994/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902571
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日本の医療制度の基本となる法律は,昭和23年に制定された「医療法」である.医師なら誰でも知っていることとは思うが,わが国の医療施設はその医療法によって,収容患者数20人以上の「病院」と,19人以下の「診療所」とに大別されている.その他,医療法には総合病院や助産所などの規定もあるが,基本的には「病院」と「診療所」の2つに医療施設が分類されているに過ぎず,医療法制定後の幾多の改正に際しても,この施設体系に関する事項は手つかずのままで推移してきたのである.つまり,大学病院などの1,000床を超えるような極めて大規模な病院と,わずか20数床の小規模病院とが,制度上は同じ施設体系として取り扱われていたのである.
しかし,近年のめざましい科学技術の進歩に伴い,医療技術の高度化や専門細分化が進む一方で,人口の急激な高齢化による疾病構造の変化,また国民の生活水準の向上により多種多様な医療サービスが求められるようになるなど,医療を取り巻く環境が非常に大きく変貌してきたのである.端的に言えば,国が戦後一貫して政策的に推し進めてきた医療サービスの供給体制を,量的整備から質的な整備へと転換を図ろうとしているのであり,制度上も医療施設の「体系化」や「類型化」と呼ばれるような,施設体系の再構築が必要とされるようになったのである.
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