特集 施設老人ケア
施設入所型老人ケア・サービスの体系化をどう考えるか
野村 瞭
1
,
和田 敏明
2
Ryo NOMURA
1
,
Toshiaki WADA
2
1厚生省大臣官房老人保健福祉部老人保健課
2全国社会福祉協議会高年福祉部
pp.293-297
発行日 1989年4月1日
Published Date 1989/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209529
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医療・保健・福祉が一体となり,地域ケアの確立を
老人医療・福祉需要の動向
いろいろな機会に繰り返し指摘されているように,わが国はかつて世界のどの国も経験したことのない急速なスピードで高齢化が進展しており,わずか30数年後にはおおむね4人に1人が65歳以上の高齢者になるという超高齢化社会が到来することが見込まれている.これに伴い,老人の医療・福祉ニーズも今後ますます増大かつ多様化するとともに,高齢者の中でも特に後期高齢者の増加が見込まれていることから,寝たきり老人等の要介護老人も増加することが予測されており,老人に関する保健・医療・福祉の各分野の社会保障施策について,量的,質的に整備拡充が求められている.また同時に,有限の社会資源を有効かつ効率的に利用していく観点からは,老人1人1人の病態,家庭環境等に応じて,家庭,医療施設,福祉施設,そして家庭と医療施設をつなぐ中間施設として新たに誕生した老人保健施設のそれぞれで適切に処遇していく必要があると考えている.つまり,絶対的な需要が増加する中で,在宅か施設かという二者択一的な考え方ではなく,両者がいわば車の両輪のように相互に補完する形で対応していくことが望ましいのではないか.
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