今月の主題 Common Diseases リアルタイムの診断・治療手順
その他の疾患
性感染症
根岸 昌功
1
1東京都立駒込病院・感染症科
pp.718-719
発行日 1992年4月10日
Published Date 1992/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901480
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性感染症(STD)とは,主として性行為を介して人から人へと感染する疾患の総称である.したがって,原因別にみて,細菌性(梅毒,淋病,軟性下疳,鼠径リンパ肉芽腫症,非淋菌性尿道炎など),真菌性(カンジダ症など),原虫性(トリコモナス症など),ウイルス性(尖圭コンジローマ,陰部ヘルペス,B型肝炎,HIV感染,伝染性単核球症など),寄生虫性(毛ジラミ症,疥癬など)など多くの疾患がある.これらの疾患の患者を診療する医療技術的なこと以外に,留意しておくべき事項もある.たとえば,これらの疾患は性行為で感染するため,性交の相手の診療も重要であるという側面をもつ.いわゆる「ピンポン感染」を防ぐためであるが,防疫上はたいへん大切なことであっても,実際には困難なことである.また,性成熟期の女性に起こるSTDは,患者本人の問題であると同時に,妊娠出産を介して,その児への感染に関係する問題でもある.法律上の作業としては,いくつかの疾患は届け出が義務づけられている.
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