今月の主題 Common Diseases リアルタイムの診断・治療手順
消化器疾患
胃炎とその類縁疾患
丸山 正隆
1
1聖路加国際病院・内科
pp.600-604
発行日 1992年4月10日
Published Date 1992/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901446
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胃炎というと一般的には慢性胃炎を思い浮かべるであろうが,この言葉は日常臨床上かなり漫然と,しかしきわめて便利に使われていると思われる.しかしよく考えてみると,どんな症状を示す病態か,いったいどんな病態があるのか,病因は何でどのような変遷を示すのか,どのように診断しどのように治療すべきか,といった疑問に答えることはそれほど容易ではない.これは胃という臓器が,ある種の状況を除いてその状態にかかわらず食欲を満足すべく摂取された種々雑多なものの刺激をまともに受け,特別な場合を除いてその個人に感じ取られないままにきわめて種々の反応を起こし,それが摂食ごとに積み重なっているという,自己防御のほとんどない臓器であることを考えると,慢性胃炎の複雑さは容易に理解できるであろう.
それゆえ慢性胃炎はそれを分類するだけでもいろいろな観点があって,なかなか統一されたものがない.これについて述べることは本稿の目的ではないので,代表的分類と最近筆者が考えている分類を表2(表1は急性胃炎の分類)に示すにとどめ,これを踏まえて頂きながら話をすすめていきたい.
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