今月の主題 循環器薬の使い方 '92
急性心筋梗塞
再梗塞防止治療薬の長期投与と予後
出川 敏行
1
1東邦大学大橋病院・第3内科
pp.76-79
発行日 1992年1月10日
Published Date 1992/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901317
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心筋梗塞の長期予後は急性期の梗塞サイズと密接に関連があり,左心機能は梗塞サイズを反映する.心筋梗塞急性期の梗塞サイズの拡大と再梗塞は梗塞サイズの増大を招き,左心機能をより低下させ,予後を悪化させる.心筋梗塞の予後については,院内死亡率は12〜18%,生存退院例の1年以内の死亡率は5〜10%,その後年間2〜3%の死亡率と報告されている1).従来,急性期の梗塞サイズの拡大と再梗塞に対しては,カルシウム拮抗剤,抗血小板凝集薬などの薬物療法による防止に主眼がおかれていた.しかし近年,急性期の冠状動脈造影によって梗塞部位,多枝病変の有無など冠動脈病態をより早期に把握することが可能になり,経皮的冠動脈形成術(PTCA),冠動脈バイパス術(CABG)のいわゆるinterventional therapyの積極的適応によって院内予後の改善が認められている.そしてこの予後の改善は,発症数年後まで続くことが統計学的に示されている.
さらに,退院後の長期予後を改善する方策として,冠危険因子の是正・除去とさまざまな薬物療法が試みられている.表1に心筋梗塞の二次予防に有効である可能性がある因子・薬剤を示した.
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