呼吸器疾患診療メモ
慢性呼吸不全急性増悪時の呼吸管理
宮城 征四郎
1
1沖縄県立中部病院
pp.2204-2206
発行日 1991年12月10日
Published Date 1991/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901291
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慢性呼吸不全の急性増悪時の呼吸管理は,フグ中毒や有機燐性薬物中毒,気管支喘息発作重積状態などの急性呼吸不全のそれとは大きく趣きを異にする.急性呼吸不全の呼吸管理は,最大吸気圧測定値に反映される吸気筋力の低下や疲弊,肺活量や1回換気量その他の換気力学的パラメーター,A-aDO2,の開大などを指標として挿管や人工換気の適応基準が定められるのに対し,慢性呼吸不全の呼吸管理は,積極的または調節的酸素療法を最優先し,人工換気の導入は可及的に避けたいとするのが一般的である.とはいうものの,回復可能な患者の呼吸停止に対して人工呼吸を施すことに異論をはさむ余地はない.また,たとえ呼吸が停止していなくとも,外呼吸(換気と拡散)障害が重篤で薬物療法や従来の酸素療法その他に反応しない慢性呼吸不全の急性悪化の場合にも,人工呼吸が適用されることは論をまたない.
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