講座 図解病態のしくみ 膠原病・7
シェグレン症候群
杉本 正毅
1
,
廣瀬 俊一
2
1順天堂伊豆長岡病院・内科
2順天堂大学医学部・膠原病内科
pp.732-738
発行日 1991年4月10日
Published Date 1991/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900847
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シェグレン症候群(以下SjS)は1933年スウェーデンの眼科医Henrik Sjögrenが口腔および眼の著明な乾燥感を伴った関節炎患者を記載した1)ことに始まる.彼は乾燥性角結膜炎(keratoconjunctivitis sicca,以下KCS)の病理学的研究を進めていくうちに,これらの変化が単に眼だけでなく唾液腺にも及んでいることを見いだし,KCSが全身疾患であると考えるに至った.1960年以降,NIH groupを中心にSjSの研究が活発に進められ,Sjsの概念もさまざまに変化してきた.当初は慢性関節リウマチ(RA)の亜型的存在と考えられていたが,他の膠原病にもしぼしぼ合併することが明らかになった.本症は“唾液腺,涙腺へのリンパ球,形質細胞の浸潤と破壊を特徴とし,その結果,dry mouth(xerostomia),dry eye(xerophthalmia)という特徴的な乾燥症状を生ずる疾患で,リウマトイド因子(以下RF)をはじめ各種自己抗体を産生する慢性全身性自己免疫疾患である”と考えられ,Talalらは本症に対しautoimmune exocrinopathyという呼称を提唱している.本稿ではSjsの概念の変遷に触れながら,今日明らかにされている病態,診断をめぐる問題点などについて述べてみたい.
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