今月の主題 消化器薬の使い方—その効果と限界
肝疾患
アルコール性肝障害の薬物療法
重田 洋介
1,2
1慶応義塾大学医学部・内科
2伊勢慶応病院
pp.668-669
発行日 1991年4月10日
Published Date 1991/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900826
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アルコール性肝障害は病理組織学的に,脂肪肝,アルコール性肝炎,肝硬変に分類されるが,わが国ではこの他に,炎症所見に乏しく小葉中心性あるいは肝細胞周囲性の線維増生をみる肝線維症,また門脈域の炎症性変化を主体とする慢性肝炎が比較的多くみられる.
脂肪肝はアルコール性肝障害の最も基本的な病態で,過剰の飲酒により必ず発生するが,禁酒により正常化する可逆的なものである,しかしこの状態のままさらに過剰飲酒が加わると,アルコール性肝炎が発症し,このアルコール性肝炎の反復により結合織の増生がくり返され,再生結節が形成され肝硬変症となる.しかし現在ではこのような古典的アルコール性肝障害の進展過程以外に,肝線維症や慢性肝炎を経過して肝硬変へ進展する可能性が考えられている.
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