今月の主題 消化器薬の使い方—その効果と限界
消化性潰瘍とその類縁疾患
消化性潰瘍治療剤の予防的投与の適応と効果
井上 正規
1
1広島大学医学部・総合診療部
pp.624-626
発行日 1991年4月10日
Published Date 1991/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900807
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急性胃病変をはじめ,消化性潰瘍は防御因子と攻撃因子の不均衡により発生すると考えられている.また,その治療薬剤もこの不均衡の是正,すなわち,防御因子を強化する薬剤(防御因子増強剤)と攻撃因子を抑制する薬剤(攻撃因子抑制剤)により潰瘍は治癒することが知られている.
今回筆者に与えられたテーマは“潰瘍治療剤の予防的投与の適応と効果”であるが,予防的に消化性潰瘍治療剤を投与する場合,どのような全身的あるいは局所的異常をもった症例に投与すべきか,その効果はいかなるものかなど考えられるが,予防的効果についての臨床的成績は少ない.したがって,以下,
①胃粘膜の防御機構とはいかなるものか
②消化性潰瘍を合併しやすい疾患はどのようなものがあるか
③ストレスおよび潰瘍形成性薬剤による胃粘膜障害
④消化性潰瘍治療剤の種類
⑤消化性潰瘍治療剤を投与すべき病態および疾患
などについて解説し,その責を果たすこととする.
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