カラーグラフ Oncology Round・11
皮膚筋炎に併発した早期卵巣癌
菅 三知雄
1
,
高村 郁世
2
,
千代谷 成史
3
,
片山 勲
4
1青森県立中央病院・病理
2青森県立中央病院・産婦人科
3青森県立中央病院・皮膚科
4埼玉医科大学・第1病理
pp.1239-1242
発行日 1990年7月10日
Published Date 1990/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900310
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皮膚筋炎はループス・エリテマトーデス(SLE),慢性リウマチ性関節炎などと並列される膠原病の一種であるが,他の膠原病とは異なり,9.3〜43%(金子ら1)による本邦成人の集計では30.0%)の高率で悪性腫瘍を併発することで知られている.なお多発筋炎は本質的には皮膚筋炎とあまり違わないものと考えられているが,特有な皮膚炎がなく,悪性腫瘍の合併率ははるかに低い.1976年のわが国の剖検統計では,皮膚筋炎の34.2%に対し,多発筋炎は10%であった.
今回は皮膚筋炎に卵巣癌の合併がみられた症例を提示する.44歳女性で,肺炎および敗血症併発のために,発症後1年7カ月で,卵巣の手術が行われる前に死亡した.卵巣癌の診断は死体解剖で確認されたが,卵巣はまだ正常大であり,顕微鏡による検査で初めて卵巣癌の存在が明らかになる程度の早期癌であった.皮膚筋炎に悪性腫瘍が併発しやすいということで癌検診が精力的に行われたために,このような早期癌が発見されたのである.
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