文献紹介
橋本病,皮膚筋炎,卵巣癌の合併,他
pp.524,549
発行日 1964年7月10日
Published Date 1964/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203080
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52才婦人,1ヵ月前より顔面,手,腕に紅斑を生じ入院,皮膚乾燥,毛髪粗・顔面浮腫状で典型的なhypothyroid所見。こうしたhypo—thyroid症状は数年かかつて漸次的に進行した由。PBI 17μg, tannedred cellテストでthyroglobulin抗体2500000倍で,橋本病と診断,1—thyroxine療法はじむ。8週後euthyroidとなつたが,紅斑は顔,手,腕,脚,躯幹にひろがり,固形物嚥下困難となる。皮膚筋炎と診断さる。脚筋消耗著し、腱反射ほとんどなし。EISR 52mm/h。電気泳動にてα2gl増加あり。LE細胞(—)。尿クレアチン550mg/24h。皮膚生検で診断確かむ。prednisolone 60mg, Dianabal 30mgで治療,急速に軽快し,2週で脚の紅斑,疼痛去る。1ヵ月後下肢浮腫,腹水出現,腫瘤は触れないが腹部臓器癌と考えらる。発病8月後死亡。剖検,右卵巣より発生した未分化癌。左卵巣,大網,肝,肺に転移あり。皮膚変化は上記の如くだが筋変化は非特異的でcarcinomatous neuromyopathyの筋所見に一致した。癌に合併する皮膚筋炎はca neuromyopathyと同列の異常と考えられる。皮膚筋炎でneuromyopathyを伴つた症例もある(Croft, P.B.:Lancet 1:184,1963)。
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