今月の主題 わかりやすい心電図の臨床
疾患と心電図異常
非特異的ST-T変化
林 博史
1
,
長坂 真
1
1名古屋大学医学部・第1内科
pp.1014-1016
発行日 1990年6月10日
Published Date 1990/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900252
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●非特異的ST-T変化の定義
ST-T部分は心室の再分極過程を反映するのみでなく,心室脱分極さらには自律神経,血行動態,電解質,代謝など心臓外の因子も含め幅広い影響を受ける.またこれらの変化はST部分,T波同時に受けることが多いためST-T変化と表現される.Goldmanによれば,心電図そのものにより病因診断されないST-T変化を非特異的(Non-specific)という.従来,非診断的なST-T変化はMyocardial damage(心筋傷害)と呼ばれてきた.しかしこれは実際の心筋障害の有無に関係しないために,最近はやや漠然と非特異的ST-T変化(Non-specific ST-T change),あるいはMinor ST-T abnormalitiesという言葉がよく用いられる.これらの用語は現在のところ明確に定義されてはいない.非特異的という言葉を人によっては非虚血性と同意義に用いたりあるいは非心疾患性,狭義には正常者に見られる軽度のST-T異常という意味合いで用いられているのが現状であると思われる.
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