検査
検査データをどう読むか
松野 一彦
1
1北海道大学医学部附属病院・検査部
pp.888-891
発行日 1990年5月10日
Published Date 1990/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900226
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◇凝固検査の進め方と読み方
本症例では,PTとAPTTがともに著明に延長していることから,血液凝固機序のうちの内因系と外因系両者の異常,あるいは共通経路(第V,X,II,I因子)に異常があると考えられた.感染症の経過中に出現した凝固異常であることからDICの合併が最も考えられるが,フィブリノゲン(I)はむしろ高値であり,FDPも陰性であることから,DICは否定できる.次に凝固因子活性の定量では,第II,VII,IX,X因子が著しく低下しておりビタミンK欠乏による凝固異常が強く疑われた.そこで,ビタミンK欠乏の時に出現する異常蛋白であるPIVKA-IIを測定すると,8μg/ml以上と高値であり,本例の凝固異常はビタミンK欠乏によると診断した.
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