増大号特集 これからもスタンダード!—Quality Indicatorの診療への実装—生活習慣病を中心に
生活習慣に影響・関連するエトセトラ
Column こころと生活習慣病
小澤 秀浩
1
,
山崎 聡
2
1練馬光が丘病院総合救急診療科総合診療部門
2練馬光が丘病院糖尿病内分泌内科
pp.2021-2023
発行日 2022年10月10日
Published Date 2022/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402228561
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
こころとは生き物の精神的作用やその源を指し感情,意思,知識,思いやりなど含んだ多義抽象的な概念であり,ヒトの行動や健康に多彩に作用する.“Happy people live longer”.『Science』誌で発表されたこのタイトルの研究では,幸せと感じていた人は感じていない人と比べて平均寿命が7年長く,幸せは長生きのコツであることが報告された1).こころの安らぎが健康に恩恵を与えてくれることが期待される反面,こころの病が生活習慣病に悪影響を及ばすこともある.
例えば,うつ病患者はうつ病でない者と比べて1.6倍糖尿病をきたしやすい2).さらに,糖尿病患者では糖尿病でない者と比べて1.15倍うつ病をきたしやすく2),糖尿病の増悪とうつ病の悪化は悪循環を形成する危険がある.うつ病患者では糖尿病患者における網膜症や冠動脈疾患の発症リスクが高く,細小血管症や大血管症の発症・進展への影響が示唆されており3),当然,糖尿病とうつ病を合併する者ではうつ病でない糖尿病患者や糖尿病でないうつ病患者と比べて全死亡率が有意に高まり,特に冠動脈疾患における死亡率が高まる4,5).密接に関わり合ううつ病と糖尿病は両者の治療を併せて行うことが肝要である6).
Copyright © 2022, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.