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血液疾患は一般内科医から敬遠されがちな疾患の代表的存在である.その原因としては,白血病やリンパ腫などの急速に進行する悪性腫瘍が含まれていることや,好中球減少,血小板減少などによって重篤な感染症や出血を生じる可能性があることなどが挙げられる.したがって,血液疾患が疑われる場合には早期から血液内科医が診療することが理想的であるかもしれない.しかし,全国的な(特に地方部での)血液内科医不足の現状を鑑みると,残念ながらすべての血液疾患患者を血液専門医が対応することは困難であり,一般内科医にその一部をお願いせざるを得ないのが実状である.ただ,血液内科医が足りないからといって血液疾患患者をそのまま投げ出すことは決して許されない.一般内科医に依頼するのであれば,診療に必要となる十分な情報,注意事項を提供して,その患者の診療に不利益が生じないように努めることはわれわれ血液内科医の義務である.
本特集は「血液専門医との効率的な連携のために」というサブタイトルのもとに,血液専門医に原稿を執筆していただいた.その内容は「血液疾患の診断へのアプローチ」で一般的な鑑別診断法について紹介することから始まり,「血液に影響を及ぼすさまざまな背景」で特殊な背景を有する患者における血液診療について補足した.また,「専門医へ紹介するタイミング」で(一般内科医にとって最も知りたい部分はここかもしれない)遅滞なく専門医に紹介するためにはどのような点に注意をすればよいか,どのような患者をエマージェンシーとして扱わなければならないかについて解説している.最後に「一般内科医が対応できる血液疾患の治療」として,より具体的な診療方法を示している.座談会では,都心部で血液専門医として勤務されている先生,非都心部で血液専門医,一般内科医として勤務されている先生にお集まりいただき,血液疾患診療における血液専門医と一般内科医の連携について話し合った.その中で,地域によって理想的な連携のあり方は異なる可能性があること,しかしながら電話連絡などによる密接なコミュニケーションが重要であることは共通していることなどが浮き彫りにされた.診療の方向性について血液専門医から明確な情報が供給されれば,一般内科医との効率的な連携は可能になると考えられた.
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