特集 もっともっとフィジカル!—黒帯級の技とパール
扉
徳田 安春
1
1群星沖縄臨床研修センター
pp.1307
発行日 2018年8月10日
Published Date 2018/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225740
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人工知能(artificial intelligence:AI)は医師の仕事をどこまで奪うのか.医療界のシンギュラリティがもう現実となってきているなかで,21世紀における医師の役割が問われている.deep learningで鍛えられたAIアプリは画像と病理の診断で医師を超えた.AI搭載の手術ロボットは腸管吻合術において外科医よりきれいに縫い上げている.「医師の役割は,患者の話を聞いて診療情報をAIにインプットし,出てきた結果を患者に説明することになるだろう」と予言する急進派IT研究者もいる.はたして,未来の病院の外来部門では,AI搭載ロボットの前に患者が並ぶことになるのか.
私は,AI搭載ロボットにとって最も困難なスキルはフィジカルである,と思う.糖尿病網膜症の眼底スクリーニングなどの単純なスキルはAIでも代替可能である一方で,無数のパターンをとりうる個々の病歴に合わせて診察所見や手技を的確に取捨選択するフィジカル・アートは,AIには不可能に近い.フィジカル・アートは豊富な経験に基づく暗黙知であり,アルゴリズムとの親和性は低い.つまり,これからの内科医にとって最重要の課題は,フィジカル・アートを向上させることなのだ.
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