特集 日常診療に潜む「処方カスケード」—その症状、薬のせいではないですか?
扉
鈴木 智晴
1
,
徳田 安春
2
1社会医療法人 仁愛会 浦添総合病院 病院総合内科
2臨床研修病院群 プロジェクト群星沖縄
pp.1186-1187
発行日 2022年10月15日
Published Date 2022/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203958
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ポリファーマシーが問題になっている昨今、単に多疾患併存のために処方薬が多くなっているわけではなく、薬剤による副作用を、新たに生じた医学的問題と誤解して、この症状に対してさらなる処方がなされるという「処方カスケード(カスケード:雪崩現象)」が問題になっています(下図)。処方カスケードによって生じる健康影響としては、副作用に対して新たに開始された薬(処方薬や市販薬)がさらなる副作用を引き起こしたり、副作用と診断できていれば避けられる不要な検査・医療デバイスが導入される可能性があります。これに伴い医療費の負担も増え、その他にも患者経験としてQOLの低下も生じます。多疾患併存の患者で処方薬が増えることは、相互作用による薬剤の効果の増強や減弱、あるいは転倒やせん妄、認知機能低下といった問題を悪化させる可能性もあり、非常に重要な問題です。
本特集では、日常診療でよくみられる「処方カスケード」のパターンを紹介し、これを認識することによって読者の皆さんが「処方カスケード」に気づくきっかけとなり、薬剤副作用の回避のために薬剤の中止・減量や変更、その後のモニタリングといった対応ができるようになることを期待しています。
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