特集 内科医のためのクリニカル・パール3
感染症
感染症のクリニカル・パール
松永 直久
1
1帝京大学医学部附属病院感染制御部
pp.1658-1662
発行日 2017年9月10日
Published Date 2017/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225116
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局所所見がその局所にある疾患が原因なのか,他の疾患に由来する全身の反応の一部なのかを意識する
意識レベルの変化が頭蓋内病変とは限らない.「AIUEO TIPSを鑑別に考えろ」と学生時代に習った方も多いだろう.頻呼吸だといって呼吸器疾患とは限らない.敗血症による代謝性アシドーシスを代償している様子を示しているかもしれない.
筆者が最も気をつけているのが,悪心,嘔吐,下痢といった消化器症状である.初回のクリニカル・パール特集(『medicina』2009年9月号)でも,青木眞先生(感染症コンサルタント)のクリニカル・パールとして「胃腸炎症状の患者をみたら,お腹の外から考える」1)が紹介され,「『急性胃腸炎』は危険な病名!」と警鐘が鳴らされており,意外な病名が挙げられている2).下痢を主訴に来院した患者が,最終的に感染性心内膜炎と診断されることもある.腎盂腎炎のこともある.つまり,一見,消化器疾患による症状だと思えても,非感染性を含めたほかの疾患に由来する全身反応の一部のこともある.
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