書評
—向山政志,平田純生 監修 中山裕史,竹内裕紀,門脇大介 編—腎機能に応じた投与戦略—重篤な副作用の防ぎかた
安田 宜成
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1名大・循環器・腎臓・糖尿病(CKD)先進診療システム学
pp.881
発行日 2017年5月10日
Published Date 2017/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224928
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腎臓内科には日々,さまざまな急性腎障害(Acute Kidney Injury:AKI)症例の相談があり,その中でも薬剤性のものが少なくない.薬剤性腎障害は重篤な感染症の治療など,患者の生命を救うためには避けがたい場合もあるが,その多くは少し注意すれば避けることができ,また腎機能をモニタリングしていれば重症化する前に対策を講じることができる.私たち腎臓専門医にとってみれば当たり前のことだが,では腎臓病を専門としない医師や薬剤師が具体的にどうすればよいのか? 本書はその解決となる良書である.
監修の向山政志先生,平田純生先生による類書は多いが,本書では難しくなりがちな薬物動態や腎機能の評価法を興味深く学ぶことができるよう随所に工夫が認められる点が特筆される.まず第1章「この副作用,防げますか?」では,SU薬やダビガトラン,NSAIDsなど,処方機会の多い薬物の副作用を中心に,症例を通じて病態から具体的な対策までわかりやすく学ぶことができる.薬剤性腎障害の分類など,より専門的な情報はコラムにまとめられている.
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