書評
―内藤裕史 著―薬物乱用・中毒百科
高橋 哲郎
1
1精神分析セミナリー
pp.1131
発行日 2011年11月15日
Published Date 2011/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102031
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本書は同著者の『健康食品・中毒百科』(2007年)に続く,乱用される薬物についての大作である。著者生涯の使命感に基づいて書かれているだけに,実に読み応えある内容であり,しかもこなれた文章は読みやすい。
本書の内容をまず通覧すると,Ⅰ覚醒物質(メタンフェタミン,コカイン,咳止めなど),Ⅱ大麻(マリファナ),Ⅲ幻覚剤(LSDなど),Ⅳ解離性麻酔剤(PCPなど),Ⅴ興奮剤(MDMAなど),Ⅵ麻薬(アヘン,モルヒネ,ヘロインなど),Ⅶ吸入物質(シンナー,燃料用ガス,噴射剤など)の7編に分類され,薬品それぞれの歴史的背景,登場をめぐる状況,中毒死などの疫学,作用・副作用,構造式,薬理,多数の詳細な事例など,1,400の文献を網羅して書かれている。まさに「百科」と呼ぶにふさわしい学術書である。
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