特集 プライマリ・ケア医のための消化器症候学
扉
小林 健二
1
1亀田京橋クリニック 消化器内科
pp.799
発行日 2017年5月10日
Published Date 2017/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224907
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一般内科医が初診患者を診るとき,専門外来と異なり,すでに診断がついた状態であることは稀です.そのため,症状や身体所見,患者背景から鑑別診断を考えて検査を選択したり,必要に応じて症状を軽減する対応を行ったりすることが多いでしょう.日々の診療において,これらの作業が占める割合は非常に大きいと思います.そして,それは消化器症状を訴える患者の場合でも同様です.
症候から診断に至るまでの過程では,個々の症例で考えるべき鑑別診断が異なりますし,落とし穴も潜んでいます.例えば,消化器症状を訴えていても,その原因は消化器疾患とは限りません.消化器だけに目を向けていると,重大な徴候を見落としてしまう恐れがあります.しかし,だからと言って,その症候から疑われる鑑別疾患をしらみつぶしにチェックしようと検査を乱発することは,非効率的であり,限られた医療資源の濫用につながります.それに,何よりも患者に負担を強いるだけです.
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