書評
—丸山一男 著—痛みの考えかた—しくみ・何を・どう効かす
松田 直之
1
1名古屋大学大学院医学系研究科救急・集中治療医学分野
pp.1153
発行日 2015年6月10日
Published Date 2015/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223566
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『痛みの考えかた─しくみ・何を・どう効かす』(丸山一男:著)が,南江堂(東京)より出版された.この366頁からなる本は,学術性が本格的に保たれている一方で,遊び心や漫画心が満載されており,「痛みの学術」に親しみを感じさせてくれるものとなっている.電車の中で,またはゴロっと横になって,実に読みやすいサイズのA5判である.専門診療科の医師,患者さんの苦痛と向かい合う看護師,リハビリテーションや放射線技師などのパラメディカルの皆さん,医学生,看護学生,また医療関連ではない一般の皆さんを含めて,幅広い層を対象として,読みやすい内容となっている.
まず,本を開くと,「痛みの道─末梢から脳へ─」,そして「痛みの傾向と対策」などという絵心のあるフローチャートが見開き2頁で出てくる.若い頃,人生を考えながら京都の学問の道を歩いたように,また若い頃,大学受験の際に『傾向と対策』などという参考書を使用していたときなどのように,私のような50歳台を確実にキャッチした.この2頁を眺めるだけでも頭がスッキリする.「痛みを感じる?」,「なぜ?」……そのうえで,「自分の痛みはとれるのか?」,「患者さんの痛みはとれるのか?」……このようなことを見開きの2頁に実にわかりやすく,道標としてまとめてくれている.
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