1さつの本
丸山 博 著—いまもよみがえる先生のことば"健康相談"
林 義緒
1
1大阪府八尾保健所
pp.276-277
発行日 1973年4月10日
Published Date 1973/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205268
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昭和31年に"岩波新書"で出された"健康相談"は,絶版になっているのでいまは古本屋にしかないと聞いている。これは,神奈川県立公衆衛生看護学院の保健婦学生の学習記録をもとに書かれたものである。夏休みのレポート,保健所や学校実習のまとめなどをおりこんで,丸山先生の意見を書かれている。私はちょうどそのとき教えを受けた学生として,いまは古びた"健康相談"をみるとき,15年をこえる丸山先生との師弟関係や,保健婦としての自分の仕事を改めて想いおこすのだ。
高校時代の私は学校の近くにあった大原美術館の絵や倉敷川の風景や,林芙美子の"放浪記"などの影響で,日本中を放浪して歩く夢をみていた。それには"看護婦"になって免状のある放浪をすれば"放浪記"のように経済的に困らないだろうと,かってな願いを託して看護学校にはいった。当時の看護倫理で,放浪する看護婦はだめなんだ,ということを聞いて1人苦笑したこともあった。看護学校は,放浪するにふさわしい京都を選び寮生活を始めたが,大学民主化の嵐のなかで.定着して働きつづけることのたいせつさを学ばされ,保健婦学校にいくことにした。
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