増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
内分泌学的検査
性腺
テストステロン
寺井 一隆
1
,
堀江 重郎
1
1順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科
pp.384-385
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223319
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検査の概要
テストステロンは男性では95%が精巣で産生される.下垂体から分泌される黄体形成ホルモン(lutenizing hormone:LH)が精巣間質細胞であるLeydig細胞に作用することにより,テストステロンが分泌される.男性の場合,小児期は生後4カ月まで3ng/mL程度を最高値とする一過性の上昇を認めるが,生後6カ月で0.03ng/mL程度に低下し,思春期までは低値を維持する.思春期の発来とともに,急激に成人男性レベルに達する.その後,20歳台をピークとして,加齢とともに緩やかに減少するが,女性の閉経のような大きな変化は認められない.女性においても卵巣で男性の約20分の1のテストステロンが産生されている.テストステロンは筋肉,骨,血管,脂質代謝,性機能など,広範な臓器の機能に関係することが知られている.また,男女とも副腎から微量のテストステロンが産生されている.
血中テストステロンの約98%はsex hormone binding globulin(SHBG)との結合型テストステロン(SHBG-T)とアルブミンとの結合型テストステロン(Alb-T)であり,残りの2%が遊離テストステロンとして存在する.これらのうち,遊離テストステロンとAlb-Tがアンドロゲン生理活性を有することからbioavailable testosterone(BAT)と呼ばれている.近年問題となっている加齢男性性腺機能低下症(LOH症候群)の診療にはBATの測定が望まれるが,実地臨床では遊離テストステロンと総テストステロンの測定で十分であると考えられている.
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