増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
血液生化学検査など
炎症マーカー,感染マーカー
エンドトキシン
遠藤 重厚
1
1岩手医科大学医学部救急医学
pp.168-169
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223240
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検査の概要
エンドトキシン(lipopolysaccharide:LPS)はグラム陰性桿菌性敗血症の病態生理学における一次性誘発物質である.したがって,エンドトキシンは重要なモニタリング指標とみなされる.
エンドトキシン定量法として知られるリムルステストの名はアメリカ産カブトガニの学名Limulus polyphemusから由来している.このテストは,カブトガニ血球が微量のエンドトキシンで凝固する現象が契機となり開発された1).カブトガニ血球の抽出液(ライセート)に存在するC因子がエンドトキシンの受容体であり,これは哺乳動物の補体のC1sやC1qとの構造類似性が明らかにされている.エンドトキシンと結合するC因子は活性化C因子となる.活性化C因子はB因子を活性化し,活性化B因子は凝固酵素前駆体に作用して凝固酵素に変換する.これが,コアグローゲン(哺乳類のフィブリノーゲンに相当)に作用し,不溶性のコアグリン(フィブリンに相当)を形成する.これがリムルステストのゲル化法と呼ばれるもので,開発当初から敗血症患者の血中エンドトキシンの定量法として用いられるようになった.
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