増刊号 一線診療のための臨床検査
第II章 各論―検査編
3. 血液検査
3)止血・線溶―PT,APTT,FDP,Dダイマー
玉川 真
1
1兵庫県立成人病センター検査部
pp.1245-1248
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100278
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はじめに
血液凝固は体をケガや出血から守るために,出血直後から反応が開始される.凝固反応経路には内因系と外因系との二つの経路があり,凝固因子は次々に活性化を進め,両者とも途中から共通経路となる(図1,表1).トロンビン(IIa)がフィブリノゲン(fibrinogen,以下fibg)の一部を分解してフィブリン(fibrin)にする.最終的にトロンビンにより因子が活性化され,不安定なフィブリンを架橋し強固な血栓にする.これらの過程が病的に起これば血栓症やDIC(disseminated intravascular coagulation,播種性血管内凝固)症候群が起こるのである.
その後,不要になった血栓を溶かすのがプラスミンで,その分解産物がFDP(fibrinogen degradation product,FgDP:フィブリノゲン分解産物,fibrin degradation product,FbDP:フィブリン分解産物,Dダイマー)である.それらを測定することにより,体内で線溶亢進が起こっていることを間接的に証明するのである(図2).また,プラスミンによるフィブリノゲン分解を一次線溶,フィブリン分解を二次線溶と区別する.
PT,APTT,FDP,Dダイマーは凝固線溶反応をスクリーニングしており(表1),一般に広く普及している.そして,病態の変化の速さから結果報告の迅速性と正確さを要求される.
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