増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液検査
凝固/線溶系検査
FDP/Dダイマー
岡嶋 研二
1
1熊本大学医学部臨床検査医学教室
pp.162-165
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906289
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
FDPは,フィブリンおよびフィブリノゲンの分解産物の総称である.Dダイマーとは,トロンビンと凝固第XIII因子(F.XIII)の作用によって形成された安定化フィブリンのプラスミンによる分解産物の総称であるが,正確には,架橋されたフィブリンの分解産物であるので,Cross-linked fibrin degradation products(XDP)とも呼ばれる.多くの場合,FDPやDダイマーの血中濃度の上昇は,血栓形成を反映する.
フィブリノゲンは,ポリペプチドであるAα,Bβ,およびγ鎖の2量体,すなわち(AαBβγ)2であるが,この構造中,各ポリペプチド鎖間にss結合が多く存在し,蛋白分解酵素に対して耐性である部分がある.この構造は,フィブリノゲン1分子中に3カ所あり,N端に近い部分がE分画(1カ所),また,C端に近い部分がD分画(2ヵ所)と呼ばれる(図1).トロンビンの作用により,Aα鎖のN端からフィブリノペプチドA(FPA)が除去されると,フィブリンⅠになるが,さらにトロンビンの作用によりBβ鎖のN端からフィブリノペプチドB(FPB)が切断され,フィブリンⅡが生成する.フィブリンⅡはポリマー化しやすく,これらの結果,フィブリンポリマーが生成する(図1).
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