書評
—細川直登 編—“実践的”抗菌薬の選び方・使い方
徳田 安春
1
1地域医療機能推進機構本部研修センター・総合診療教育チーム
pp.45
発行日 2015年1月10日
Published Date 2015/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223018
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抗菌薬について調べたり勉強したりするときには何を使えばよいか.まず,サンフォードは意外に使いにくい.日本では使用できない薬剤があったり,用量も国内で認可されていない量が記載されていたりする.網羅的ではあるがポイントがわかりにくいので学習リソースには向かない.製造元の発行する添付文書はそれにも増して使いにくい.当該抗菌薬において抗菌作用のある菌種名を延々と羅列しているのをよく見るが,いくら眺めてもどのような感染症で適応があるのかが不明だ.
そんな中で本書が出版された.読みやすく書かれたスタイルの本書は,抗菌薬の使用に関しての実践書として,とても役に立つ本である.まず,著者グループは臨床感染症の実地診療を精力的に行っている若手感染症医たちである.構成と内容をみると,実際の臨床医が行うスキームで抗菌薬の選択の在り方が書かれていることがわかる.また,日本の臨床シーンでよくあるピットフォールがわかりやすく書かれている.例えば,bioavailabilityのよくない第3世代セフェムの経口抗菌薬の使用が勧められないこと,抗菌薬の適正使用のための実践的やり方などだ.また,最近話題のピットフォールについてもよくまとめている.クリンダマイシンのBacteroides fragilisに対するカバーが不良になっていること,ニューキノロンの大腸菌カバーが不良になっていることなどだ.各章末についている27のクイズは,ピットフォールを意識したポイントをカバーしており,これを解いてみるだけでもかなりの学習効果が得られるであろう.
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