今月の主題 凝固・線溶系の臨床1989
出血性疾患の病態と診断
先天性血小板機能異常症
安永 幸二郎
1
,
間瀬 勘史
1
1関西医科大学・第1内科
pp.2330-2335
発行日 1989年11月10日
Published Date 1989/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222927
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血小板は一次止血に重要な働きをしており,血管が破綻すると流血中の血小板はまず露出した血管内皮下組織(主としてコラゲン線維)に粘着する.粘着には血小板膜糖蛋白(Glycoprotein;以下,GPと略)Ibおよびvon Willebrand因子(以下,vWFと略)が関与している.ついでこの粘着した血小板はviscous metamorphosisを呈して,α顆粒,濃染顆粒,ライソゾーム顆粒より,その内容物質の放出が起こる.さらに放出されたADPなどの刺激により,血小板のGPIIb/IIIaがフィブリノゲンを介して血小板同士の凝集が起こり,血小板血栓が形成される(一次止血).ついで凝固系が作動し,強固なフィブリン血栓が形成される(二次止血).血小板はこの凝固系にも血小板第3因子(PF3)を介して関与している(図).
先天性血小板機能異常症は,これらの血小板機能のうち,いずれかの部位に先天的に障害があり,止血異常を呈する疾患である.したがって分類は,障害部位から粘着障害を呈するもの,放出障害を呈するもの,凝集障害を呈するものに分類するのが一般的である.さらに血小板自身に異常があるもの(内因性〉と,血小板自身には異常がなく,外因性に血小板機能が障害されるものにも分類できる(表1).
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