増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
血液化学検査
135.GOT,GPT
中 恵一
1
1大阪市立大学医学部・臨床検査医学
pp.1958-1959
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222824
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現在臨床検査で最も日常測定されている血清酵素はトランスアミナーゼであり,アミノ酸のアミノ基をαケト酸に転移する反応を,ピリドキサルリン酸(PALP)を補酵素として触媒する.アミノ酸としてアスパラギン酸を基質とするものをアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST:EC 2.6.1.1:ここでは今日国内で一般的に用いられているグルタミン酸・オキサロ酢酸トランスアミナーゼの略,GOTを用いる),アラニンを基質とするものをアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT:EC 2.6.1.2:ここでは同様にグルタミン酸・ピルビン酸トランスアミナーゼの略,GPTを用いる)と呼ぶ.
GOTもGPTも種々の臓器に存在しているが,血清GOTの上昇に関与するのは主に肝,心,筋疾患であり,GPTは主に肝疾患である.GOTは細胞質画分(細胞上清分画)とミトコンドリア画分のそれぞれに存在するアイソザイムが知られ,両アイソザイムはすべての臓器細胞に存在するが,赤血球では前者のアイソザイムしか存在しない.前者のアイソザイムをsGOT(supernatantの頭文字),後者をmGOT(mitochondrialの頭文字)と呼ぶ.
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