増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
血液化学検査
134.酸性ホスファターゼ
金山 良男
1
1大阪大学医学部・第2内科
pp.1956-1957
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222823
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酸性ホスファターゼ(ACP)は,酸性領域に至適pHをもつリン酸エステル水解酵素であり,細胞内では主としてリソゾーム,ゴルジ装置に局在する.全身の臓器,組織に広く分布するが,とくに前立腺(重量あたりの含量が最も多い),肝臓,血小板,赤血球,白血球,網内系細胞,乳腺上皮などに多く含まれる.
ACPは電気泳動上少なくとも7種のアイソザイムが区別されるが,正常人血清中に検出されるACPは大部分がL酒石酸抵抗性のアイソザイム5で,ほかに血小板に由来する(血液凝固時に放出される)酒石酸感受性のアイソザイム3がごく微量存在する.前立腺癌,とくに骨転移を伴う進行前立腺癌では,酒石酸感受性のアイソザイム2および4が血中に逸脱してくるため,前立腺癌の病期診断や治療効果の判定,経過観察の指標として重要視される.ただし,アイソザイム分析が臨床的に用いられることはなく,従来は生化学的な手法で血清ACP活性を総活性と酒石酸感受性分画とに分別し,後者を前立腺ACP活性とみなしてきた.
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