今月の主題 循環器薬の使い方
狭心症
亜硝酸薬の使い方
光藤 和明
1
1倉敷中央病院・循環器内科
pp.1460-1464
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222649
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●抗狭心症作用のメカニズム
硝酸薬の細胞レベルでの作用メカニズムについては,未だ明確でない部分が残されているが,その臨床上基本的な作用は,動・静脈の直接拡張作用にある.硝酸薬の抗狭心作用は,この血管拡張作用が,多角的に心筋酸素需給に働きかけ,結果として虚血を改善するものと考えられている(図).
すなわち心筋酸素需要の面からは,酸素需要の3つの最も大きな規定因子である心拍数,心筋収縮力および壁張力については,大動脈収縮期圧と左室容量の低下により,壁張力が低下し,これが心拍数の増加を上回って,心筋酸素需要を減少せしめる.酸素供給の面からは,大動脈拡張期圧は低下せしめるものの,左室拡張期圧はさらに低下し,冠灌流圧が上昇することにより,あるいは冠攣縮を解消することにより,虚血部の血流を増加させ,酸素供給を改善するものと考えられている.
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