増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅳ 循環器疾患治療薬
狭心症
96.亜硝酸塩の使い方
宗像 一雄
1,2
1日本医科大学・第1内科
2北村山公立病院・内科
pp.1978-1980
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221216
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亜硝酸の抗狭心症薬としての歴史
amyl nitrateの抗狭心症作用は,1867年イギリスのBruntonにより初めて報告された.一方,nitroglycerin(NTG)は,amyl nitrateの抗狭心症作用が報告される以前から,アメリカのHeringにより製法および投与方法が研究され,抗狭心症剤としての薬理作用が判明する以前に薬剤として確立されたというエピソードをもつ.NTGの抗狭心症作用について初めて報告したのは,やはりイギリスの学者Murreellで,1879年のこととされる.さらに,NTG以外の硝酸エステルの抗狭心症作用も1800年代の終わりまでには確立され,これらの硝酸エステルはNTGに比較すると作用は弱いが,作用持続時間が長いことが判明した.
そのような研究の結果,1940年,アメリカのKrantzらにより硝酸イソソルビド(isosorbidedinitrate;ISDN)が開発され,その抗狭心症作用も確立された.また近年では,硝酸剤の作用持続時間を延長させるための経皮的外用剤(軟膏およびテープ)や,速効性と安定した血中濃度の維持のための静注剤が開発され,臨床に使用されている.
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