今月の主題 糖尿病マネージメントUpdate
糖尿病の診断・検査
診断に必要な検査と判定
山内 俊一
1
,
赤岡 家雄
1
,
赤沼 安夫
2
1帝京大学医学部・第2内科
2朝日生命糖尿病研究所
pp.906-910
発行日 1989年6月10日
Published Date 1989/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222490
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糖尿病を定義することは困難である.WHOは高血糖の存在を重視するが,日本糖尿病学会は仮に高血糖が証明されなくても糖尿病に特徴的な身体的所見があれば糖尿病と診断しうるとの見解に立つ.すなわち現在高血糖が存在しなくても,過去に高血糖が持続したと考えられる細小血管障害に基づく臓器障害のある場合には糖尿病と診断される.したがって糖尿病の診断は,これらの身体的所見を診察,検査によって詳しく調べることから始まる.単に血糖値や糖負荷試験の異常値のみによって定義される性質のものではない.現在ある多くの検査法によって,我々は糖尿病を診断しているわけではなく,糖尿病である確率が高いことを推測しているわけである.すなわち糖尿病の診断基準とはある検査において糖尿病が多く含まれる領域の線引き(cut-off)のことを意味する.
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