今月の主題 内科医のための他科疾患プライマリ・ケア
皮膚科
皮膚科プライマリ・ケアのオリエンテーション
幸田 弘
1
1佐賀医科大学・内科学皮膚科
pp.748-749
発行日 1989年5月10日
Published Date 1989/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222433
- 有料閲覧
- 文献概要
●皮膚科プライマリ・ケアの意義と条件
家族歴,既往歴,現病歴の聴取が済むと,いよいよ現症をとるわけであるが,その第一が視診である.すなわち理学的検査の第一歩は患者を視ることから始まるが,この視診によって患者の漠然とした訴えの病因究明の方向を一気に狭めることができることもしばしばである.
例えば,全身倦怠感を訴えて来院した患者に典型的な蜘蛛状血管腫が多発してみられたならば,その病因として肝疾患をまず第一に考え,その方向に沿って無駄なく検索を進めることができよう.すなわち,皮膚はたんに身体の表面を覆っているだけでなく,ひとつの臓器として種々の働きをすると同時に,全身の各臓器と密接な関連をもって,さまざまな変化を表現することを示している(発汗による体温調節もその一つ).これをdermadromeと呼ぶが,診断上重要な道標であり,少なくともしばしば遭遇する基本的なderma-dromeを熟知することは,皮膚科プライマリ・ケアの基本事項のひとつである.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.