今月の主題 輸血の実際と血液製剤
輸血のトピックス
人工血液
関口 定美
1
,
伊藤 敬三
1
1北海道赤十字血液センター
pp.634-635
発行日 1989年4月10日
Published Date 1989/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222408
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血液の有するすべての機能を人工的に代用しうる真の意味での人工血液は存在しない(表).現時点で人工的に血液の機能を代用するものとして,わずかに代用血漿である血漿増量剤デキストラン,HES溶液などがあるにすぎない.この他,血液の主要構成物である赤血球を代用するものとして,現在人工的酸素運搬体が開発されつつあり,一般にはこの酸素運搬体を人工血液と称している.
人工血液は,次の3種に分類できる.第1世代は酸素易溶性の有機フッ素化合物を用いたパーフルオロケミカル(PFC)であり,第2世代としてヒトのヘモグロビン(Hb)修飾体があげられる.前者は試験的に臨床使用され,後者もphase I studyに達した研究グループがある.さらに第3世代としては合成ヘム錯体を脂質二重膜内に包埋したまったく新しいタイプのものがあるが,ようやく小動物実験のレベルまで達したにすぎない.
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