輸血検査メモ
血液製剤中のサイトカイン測定
関口 定美
1
,
藤原 満博
2
1北海道赤十字血液センター
2北海道赤十字血液センター・研究部研究2課
pp.139
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903120
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血液製剤,特に血小板製剤の保存におけるサイトカインの産生・増加が明らかとなり,輸血副作用との関連が注目されている(表)1〜5).これらのサイトカインは,製剤中の混入白血球(特に単球)に由来するものと,血小板に由来するものに大別される.前者には,インターロイキン(interleukin;IL)-1,IL-6,腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor;TNF)-αなどの炎症性サイトカインや白血球走化性活性を持つIL-8が知られ,その産生量は保存日数や混入白血球の数に比例する.後者としてはRANTES,β-トロンボグロブリン,platelet factor 4,形質転換増殖因子(TGF-β)が知られている.
輸血副作用との関連が強く示唆されているのは,炎症性サイトカインによる発熱反応である.これまで抗HLA抗体に起因すると考えられていたが,保存中に高値となった炎症性サイトカインが輸血に伴って受血者に輸注され,発熱反応を引き起こす可能性が考えられている1〜2).その他の副作用については,今後の臨床レベルの研究が必要である.
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