人工臓器・4 最先端の技術を探る
人工血液
pp.364-367
発行日 1984年4月1日
Published Date 1984/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661920737
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人工血液とは
血液は血漿成分と血球成分(赤血球,白血球,血小板)とから成っている.血漿成分はリンゲル液などである程度代用がきくが,酸素を各細胞に運搬し,二酸化炭素を排出する赤血球の代用物は全くなかった.人間は大量の出血があると,容易に生命の危機に陥ってしまうが,それは主に,赤血球による酸素運搬がなくなり,組織が死滅してしまうためと考えられる.
それゆえ,血液の持つ最も本質的な機能は,その酸素運搬能にあるという考え方から,酸素を運搬する輸液剤のことを人工血液と呼ぶようになった.人工血液の研究は1946年にBurkらが始めたのが最初だが,1970年代には主として日本において,光野や大柳らによって研究され,現在では臨床試験の段階はすみ,厚生省の製造許可を待っている段階である.
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