カラーグラフ 非観血的検査法による循環器疾患の総合診断
巨大左房内に流動エコーを認めた連合弁膜症の1例
大木 崇
1
,
福田 信夫
1
,
奥本 哲生
1
,
林 真見子
1
,
小川 聡
1
,
森 博愛
1
1徳島大学医学部・第2内科
pp.494-502
発行日 1989年3月10日
Published Date 1989/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222373
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■心音・心機図所見
1)心音図と頸動脈波曲線(図1)
心尖部〔Apex,左第7肋間中腋窩線(7LMAL)〕,第6および第3肋間胸骨左縁(6L,3L)の同時記録心音図と頸動脈波曲線を示す.
I音(I)は亢進かつ遅延(Q-I時間=90msec)を示し,また拡張早期に僧帽弁開放音(OS)を認める.これらの所見は僧帽弁狭窄の存在を示唆するが,Q-I時間とIIA-OS時間(50msec)を用いて算出されるWells index〔(Q-I)-(IIA-OS)/10(msec)=+4〕から判断すると,左房圧上昇度は中等度以上と考えられる.II音はわずかに逆分裂を示し,大動脈弁病変の合併が予想される.
収縮期雑音は,3Lを中心として収縮早期にピークを有するダイヤモンド型の雑音と,6Lにおける持続の長い雑音が主体をなし,心尖部の雑音は両者の伝播と解釈される.
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