今月の主題 高脂血症と動脈硬化
動脈硬化性疾患の治療
腸管アンギーナ・虚血性腸炎
許 俊鋭
1
,
朝野 晴彦
1
1埼玉医科大学・第1外科
pp.458-460
発行日 1989年3月10日
Published Date 1989/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222367
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腸管アンギーナ(虚血性腸炎)は慢性に,あるいは急性に内臓動脈枝(visceral artery)に閉塞が生じることにより発生する.この領域の研究は1869年のChiene1)の剖検例における腹腔動脈(Celiacaxis),および上腸間膜動脈(Superior mesenteric artery=SMA)閉塞の観察が最初であるが,いわゆる慢性の腸管アンギーナが内臓動脈枝の閉塞により生じた腸管虚血に基づく2)ものか否かに関しては,1936年のDumphy3)の臨床的証明を得るまで議論が続いた.1957年Mikkelsen4)はかかる虚血性腸炎の外科的治療の重要性を示唆し,同年Shaw & Matnardは実際にSMA閉塞の外科的解除に成功している.動脈硬化以外に慢性の腸管アンギーナの原因としてdiaphragmatic cruraのbandの圧迫が原因となるceliac artery(CA)compression syndromeもある.
SMAの急性閉塞に関しては1895年にElliottが最初に腸管切除を報告している.また1950年Klass5)はSMAの急性閉塞に対し血栓除去を行い,これが急性閉塞に対する血行再建の最初の試みであった.1960年代〜1970年にかけてかかる急性閉塞の原因・病態は徐々に明らかにされてきたが,早期発見が困難なことよりなおきわめて高い死亡率が報告され,今日的課題となっている.
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