実践診療 dos and don'ts
難治性気胸?
松井 保憲
1
1天理よろづ相談所病院
pp.2598
発行日 1988年11月10日
Published Date 1988/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222181
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69歳,喫煙歴・肺結核歴がある気管支喘息の女性.CO2ナルコーシスの状態で入院14日目にようやく人工呼吸器を離脱したが,傾眠状態が続いていた.
ある日,主治医が経鼻栄養チューブの挿入を試みていたところ突然,喘息発作が生じた.人工呼吸器を再装着してもチアノーゼは変わらず,すぐに胸部X線を依頼した.写真を見て気胸と診断,先輩レジデントを呼び,胸部X線を示しながら「右側肺野の透過性亢進があり,右側の気胸と思います.」と状況を説明.先輩レジデントは「よし!」とばかりトロッカーを入れてくれた.主治医がほっとして教科書に目を通していると,ナースからチアノーゼ・発汗・頻脈は変わらずとの報告.痩せた肋間に聴診器を置くと,トロッカーとは逆の左側で呼吸音は減弱.動脈血は真っ黒.改めて胸部X線を見直したが理由が分からない.「反対側にも陽圧呼吸による気胸を起こしたのだろうか?」再び先輩を呼び出した.
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