増刊号 診断基準とその使い方
XI.小児
7.先天性風疹症候群
植田 浩司
1
1九州大学医学部・小児科学教室
pp.2304-2305
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222099
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■疾患概念と疫学
妊娠中の風疹ウイルス感染による,白内障,心疾患,難聴などの多彩な先天性異常を先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome;CRS)と称する.1941年,オーストラリアの眼科医Greggにより発見,記載された.
風疹は潜伏期(2〜3週)の後半(発疹出現前1週間)にウイルス血症を起こす.たまたま妊娠していると胎芽または胎盤から胎児に感染し,胎児にウイルス血症を起こし,播種性に胎児の多くの器管に感染する.妊娠初期の8〜12週間の胎児の感染は持続感染となる.それ以後は胎児がある程度の免疫能力をもつようになり,持続感染は成立しにくくなる.風疹ウイルスの胎児の持続感染は細胞の増殖を抑制し,胎児に多彩な先天性の異常を起こす.胎児の持続感染は出生時まで続くので新生児期の急性症状をみるものがある.感染は更に出生後も3〜6ヵ月,長いもので12ヵ月持続する.
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