増刊号 診断基準とその使い方
VIII.膠原病・免疫・アレルギー
9.大動脈炎症候群
原 まさ子
1
1防衛医科大学校・第1内科
pp.2106-2107
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222013
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■診断基準(表)
■疾患概念と疫学
大動脈炎症候群は,大動脈とその太い分枝の基部,肺動脈に起こり,内,中外膜全層に及ぶ原因不明の動脈炎である.中膜の変性と線維組織の増殖,外膜の線維化,それに対応して内膜が肥厚し内腔が狭窄,閉塞することによる末梢領域の虚血性変化と高血圧性変化により種々の症状を呈する.弾力線維の破綻が強く瘢痕化が軽い場合には,拡張や動脈瘤の形成に至る.
1908年,高安右人が花環状動静脈吻合を呈した眼底所見を発表,1948年清水,佐野が大動脈弓と主幹動脈の炎症により脈が触れないことから脈なし病と命名したが,1960年代に入り病変分布が大動脈弓,胸腹部大動脈とその分岐動脈,肺動脈に及ぶことから大動脈炎症候群として包括された.原因は不明であるが,東洋人の女性に多いことから,人種的,遺伝的素因,感染アレルギー,内分泌異常,自己免疫の関与などが考えられている.
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